大判例

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大阪高等裁判所 昭和28年(う)2589号 判決

よつて按ずるに本件控訴事実中一、被告人小川洵次郎が被告人名古屋義雄に対し主要食糧選択購入切符約一万六千食分を譲渡し二、被告人名古屋義雄が右購入切符約一万六千食分を被告人小林正に譲渡し三、被告人小林正が右購入切符約一万六千食分を被告人名古屋義雄から譲受けたとの各食糧管理法第八条ノ五違反の点につき原判決が検察官所論の理由の下に無罪の言渡をしたことは原判文上明らかである。しかし主要食糧選択購入切符(以下購入券と称する)は同法第八条ノ三第一項所定の購入券であるところ同法第八条ノ五は単に「購入券ハ之ヲ他人ニ譲渡シ又ハ他人ヨリ譲受クルコトヲ得ズ」と規定しているのであつて使用後回収済のものを除外していないのみならず購入券は主要食糧の配給割当を証明するために発給せられるものであり且つその流通が専ら券面自体の公信性に依拠する関係上已に使用後回収済のものであつても券面上これを認め得ない限り正常な回収ルートから逸出するときは一般に転々流通して主要食糧の不正売買が行われその結果配給の統制を紊す虞なしとしないからこの種購入券もまた統制上その譲渡し又は譲受を禁止する必要あるに鑑みると前記第八条の五は回収済の購入券でも右のような場合は包含するものと解するのが相当である。しかるに、原判決が本件起訴に係る購入券は回収済のものであつて廃棄処分せらるべきものであるから前記第八条の五所定の購入券に該当しないとの理由の下に罪とならないものとして輙く無罪の言渡をしたのは右法条の解釈を誤り適用すべき法律を適用しない違法を犯したものであつてこの違法は主文に影響を及ぼすこと論を俟たない。

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